猫がいれば、それで。

日本で猫を飼っていました。今は両親が世話をしてくれています。

 

ずっと猫が飼いたかった。

高校に合格したらシンガプーラを飼ってあげると言われて頑張ったのに、シンガプーラの値段を見て母親は当然のように約束を反故にしました。

シンガプーラはイエネコの中で最小の種類で、大きな目が可愛くって写真でしか見たことないけれど、ずっと飼いたいと思っていた猫の種類でした。

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「高校合格したら飼ってくれるって約束したでしょ!?」

「飼っても良いけど、ちゃんと世話できるの?ペットを飼うことがどれだけ大変か分かってる?」

「分かってるって!他に何か欲しいなんて今まで一度も言ったことないのに!一回くらいお願い聞いてよ!約束したんだから」

「だから飼ってもいいって言ってるでしょ。でも旅行に行くときの世話はどうするの?」

「旅行なんて行きたくない」

「そんなこと言ってどうせ後から預かってって言ってもお母さんは知りませんからね、やめておきなさい」

「ウソつき!!!」

「何が嘘つきよ!大体高校合格だってあなたのためでしょ!どうしてそれで猫を飼わないといけないの!」

 

この不毛なやり取りを5回は少なくとも繰り返したと思います。もはや猫を飼ってくれないことよりも、約束を守ってくれないことの方が問題だったかもしれません。

そもそも母はずっとこんなんなのだからそもそも期待した私が悪かった、とも思います。軽々しく約束するのは良くないけれど、勉強は自分のためにするものですしね……。

とにかくいつも暖簾に腕押しで私は毎回部屋で泣き、その後しばらく母親に無視されました。

 

そんなある日、クラスの子が「近くの公園に猫が捨てられてるんだけど…見に来ない?」とメールしてきました。

高校二年目の秋のことでした。その頃は猫に関して諦めの境地だったのですが、ダメ元で母に言うとなぜかやる気満々で車を出してくれました。

(恐らく母も猫は飼いたかったのだが、20万も出して猫を買いたくはなかったのだと思う)

 

公園には子猫が2匹。片方はしわがれた声で鳴いてて、もう一匹はおとなしくしていました。

おとなしくしている方の猫は三毛のメスで、メス猫が欲しいという他のクラスメートが引き取ることになりました。

子猫が車の座席を細い爪でひっかいていたのを覚えています。

こうしてしわがれ声の猫は我が家の猫になりました。オス猫で甘えた。鳴きすぎて声が枯れていたのかと思ったけれど、いつまで経っても声はちょっとしわがれたままでした。

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猫が家にいることが信じられなかった。小さくて、ほわほわで、かわいいという言葉では形容しきれないその存在。

名前を中々決められなくて「ネコ、ネコ、」と呼んでいました。


迷っていると母親がどうでもいい名前を提案してきて、なぜか私はその名前をネコに付けました。今思うと”ヴィットーリオ・エマヌエーレ”とか”ヴォルフガング・アマデウス”みたいな、彼に見合った名前を自分で考えて付ければ良かった…。

 

世界で一番イケメンな猫だと思いました。私の猫の模様が「茶トラ」というのだと知ってGoogleで「茶トラ」と画像検索してみたら、同じ猫の写真が大量に出てきてびっくりしました。

でもしばらく眺めているとやっぱり自分の猫が世界一の美猫だと確信を持てました。

(茶トラの、というか猫の飼い主のみなさん、ごめんなさい。認めたくないだろうけど、みなさんの猫ちゃんは世界一美しい猫ではないんです……。)

↓世界一美しい猫。

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朝に玄関を出たらもう猫が何しているか考えていました。

学校でもうわの空で、教室で空を眺めながら猫は寝ているだろうかとか考えていました。猫に早く会いたくていつも以上に早く家に帰りました。

 

猫はいつも私を玄関で待ってくれていました。早く家に入って俺と遊べと言いたげにニャンニャン大声で鳴いていました。

猫がいればそれでもう何もいらないと思いました。
というか実際そうだった。

まるで幸せが具現化して私の前に現れたかのような。

 

私のお腹の上で寝る猫。

勉強中膝の上で寝る猫。

遊んで欲しくておもちゃをくわえて持ってくる猫。

パントリーに侵入してキャットフードを盗み食いする猫。

私に睡眠妨害されたくなくて、キャットタワーのハンモックで寝る猫。

布団を開けて俺のスペースを作れ、と命令する猫。

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猫がいればそれで良かったのに、どうして海外なんかに来てしまったんだろう。

海外に来たことを後悔することはあまりないけれど、猫のことを考えると、もっと昔に頑張っていたら今も猫と幸せに暮らせていたのにな、と思って少し悲しくなります。

会いたいな。